第1回大会で素晴らしいレッグターンを披露してくれた市川浩二選手。このレッグターンを超えるライディングフォームは、いまだに現れていない。
毎回、凝ったポスターと、大会イメージに沿ったヴィンテージマシンが展示される。こういったところにも、主催者の強いこだわりを感じる。ちなみにこのポスターは、大会終了後、「ポスター争奪ジャンケン」が行われるほど人気だ。
Out a Time Sports #5 開催!
「ヴィンテージ・マシン」で競う、スラローム・タイムアタック
2022年11月13日(日)、ヴィンテージジェットによるタイムアタックイベント「Out a Time Sports #5」が、神奈川県平塚市のマリーナ・リバーポートマリーナ/ジェットフィールド湘南で開催された。
このイベントには、村尾 高明選手や芳賀 毅選手、加藤 豪選手、小原 聡将選手、海老原 祥吾選手、佐藤 舞旺選手など、ヴィンテージクラスの強者たちが参戦する。
当日の天候は晴れ。午前中は、若干風は強いが好コンディションだったが、昼前から強風が吹き荒れ、本部テントを撤収せざるを得ないほどの状況となった。
水面には白波が立ち、コンディションが刻々と変化する。こういうイレギュラーな水面では、実力者が確実に上位に入賞してくる。
一人ずつ走るタイムアタックなので、有力選手が水面に現れると、参加者全員がそのライディングをガン見する。遊びといえど、真剣勝負の場なのだ。
しかし、クラス分けがキチンとできているので、上級者からビギナーまでみんなが楽しめるアットホームなイベントでもある。
ズラリと並ぶ往年の名機と、やる気満々の選手たち! 朝早くから会場は熱気に包まれた。ジェットパイロットのブースも設営されていた。
今回のコース。最大の難所は「くるりんぱ!」
選手たちを苦しめた最大の難所「通称・くるりんぱブイ」(青い点線で囲まれた“赤い”ブイ)。ゴール直前の 一番スピードが乗った場所で“ブイを一回転”する。これがかなり難しい。
ワンミスが命取り。「くるりんぱ」ブイをいかに攻略できるかが勝利のカギ
今回のコースで、選手たちを苦しめたのは、最終ブイを1周まわる「通称・くるりんぱブイ」。
ブイを小さく1周しなければならないが、スピードが乗っていると大回りになってしまう。
ここでいかに速く回れるかによって、タイムに差が出た。
「X-2」クラスでいいタイムを出した大畑 雄一選手の「くるりんぱ!」。「もっと小さく回るほうが“速い”」と考える選手もいる。ここをどうまわるか、各選手の腕の見せどころだ。
Out a Time Sports名物「最強 MC・ 村尾“DEVIL”高明氏」。寝不足だろうが、そのしゃべりは絶好調!
村尾氏のトークが会場を盛り上げてくれる。恐怖は「何を言い出すか分からない」ことだ。「今日は30分しか寝ていないので、口が滑ったらスイマセン!」と、恐ろしいことを言っていた。
Convention Scenery
これから始まるよ~!
働く取材班。「可愛く撮ってね!」という彼女たちのリクエストにも、実物がカワイイから撮る方も簡単。
美女2人で持っているのが、参加賞のTシャツ。
10代の佐藤 舞旺選手。先輩X-2ライダーたちからの容赦ない(大人げない?)洗礼を浴びる!?
北海道から参戦。気合十分! 北海道は、毎年「X-2 Meeting」が行われ、ヴィンテージイベントが盛り上がっている。
松田 清志選手のイケてる走り! 昭和なX-2が素敵。
計測係は全員10代! 左から横山 亜土夢選手、大畑 梨菜選手、大中原 凪選手。
「BLASTER」クラスと「X-2」クラス
ヴィンテージマシンのタイムアタック大会「Out a Time Sports #5」では、440/550クラスのほかに、根強い人気の「BLASTER」、「X-2」クラスも設定されている。
最初に「BLASTER」クラスを、次に「X-2」クラスの報告をする。
「BLASTER」クラス Winner・関 泰光選手
関 泰光選手の「魂の走り」。スラローム世界チャンピオンの面目躍如である。
スラロームの世界チャンピオン・関 泰光選手が圧巻の走り
「BLASTER」クラスに出場できるのは、「ヤマハTZ」のみ。スポーツクラスのマシンとして、SEA-DOO HXが発売されるまでは、TZがスポーツクラスの中心であった。
TZは1993年に発売されたマリンジェットで、エンジン排気量は701cc、63馬力、最高速69km/h(カタログデータ)。バイクのような乗り心地で、鋭いバンクターンを楽しむことができることもあって、スポーツ志向のジェット乗りの心を掴んだ。
この「BLASTER」クラスにエントリーしたのは、スラロームの世界チャンピオンホルダーである関 泰光選手をはじめ、「S-1グランプリ」の関選手のライバル・知久健一選手や、X-2のベテランライダー芳賀 毅選手など計6名。ライディング巧者が集まったクラスだけに、レベルの高い戦いとなった。
編集部の予想では、決勝は「関選手 vs 知久選手」のS-1スラローマー対決になると思っていたが、決勝にコマを進めたのは、関選手と芳賀選手であった。そして、ワンミスがタイムに影響する決勝を制したのは、関選手であった。
スラローム世界1位の関 泰光と2位の知久健一の間に割って入った芳賀選手の走りは素晴らしかった。
BLASTERクラス以外にも、440/550 グループGP、X-2クラスの決勝に出場していた芳賀選手に対し、MCの村尾高明氏から「これ以上勝ったら、来年は出場禁止です!」と宣言されていた。さすが「ミスター Out a Time Sports」である。
「BLASTER」クラスの結果
1位 関 泰光選手/決勝タイム:38秒20
優勝した関 泰光選手は、予選で36秒90と、全選手のなかで最速のタイムを叩き出してトップで決勝進出。水面が荒れた午後の決勝でも、38秒20のタイムでゴール。ギャラリーからも「上手ぇ~」と称賛の声が上がっていた。
3カ月前に足の手術をし、人工関節を入れたという関選手。「走れるようになったんですよ」と、編集部に語ってくれた。
素敵な手作りのトロフィーを手にする関選手。この盾を製作したのは、440/550 グループAクラスに参戦している佐々木 力選手。
2位 芳賀 毅選手/決勝タイム:41秒12
関選手と一騎打ちとなった芳賀 毅選手。BLASTERクラスだけでなく、X-2クラス、440/550グループGPクラスでも決勝に進出するなど、八面六臂の活躍を見せた。
3位 知久 健一選手/予選タイム:40秒89
知久 健一選手。予選では、2位の芳賀選手とはコンマ11秒差と、僅差で涙を飲んだ。
菊池 新也選手/予選タイム:41秒10
菊池 新也選手。
山岸 孝善選手/予選タイム:41秒45
モトクロス出身だけあって、ライディングスタイルが格好いい山岸 孝善選手。
石田 仁彦選手/予選タイム:47秒30
石田 仁彦選手。MC村尾氏が「石田先輩は“速く見える”のにタイムが遅い」と連呼されていた。見ていたギャラリーも思わず頷いてしまった。このイベントでは、過去にチアリーダーになったりと、毎回イベントを盛り上げてくれる功労者だ。
「BLASTER」クラス表彰式
「BLASTER」クラス・リザルト
順位 |
選手名 |
1位 |
関 泰光選手/決勝タイム:38秒20 |
2位 |
芳賀 毅選手/決勝タイム:41秒12 |
3位 |
知久 健一選手 |
4位 |
菊池 新地選手 |
5位 |
山岸 孝善選手 |
Out a Time Sports #5 Gallery
みんなが応援に来てくれた!
JJSAのレースに出場している川原 愛南選手も応援に駆け付けてくれた。
大会終了後、「Out a Time Sports #5」のポスターを賭けてのジャンケン大会。昔からこういう「全部持ってけー!!」みたいなことをするのが、村尾“DEVIL”高明だ。
ジャンケン大会に勝ち抜き、見事にポスターをゲットした鎌田 六花選手(写真左)と千耶子選手(右)親子。
戦う裏方。主催者であり出場選手でもある加藤 豪選手。彼がいるからOut a Time Sportsが滞りなく開催できるのだ。
550Aに参戦している佐々木 力選手。優勝者に贈られた素敵なトロフィーは、家具職人でもある彼の力作だ。
「X-2」クラス Winner・芳賀 毅
「X-2クラス」の優勝は、「ミスター Out a Time Sports」こと芳賀 毅選手。
ベテラン現役レーサー・芳賀 毅選手が、予選からブッチギリの1位
「X-2」は、1986年にカワサキから発売されたジェットスキー初のタンデム(2人乗り)である。全長が2,225mmと、当時のシングルモデルのJS 550より8.5cm長いだけなのに、合法的に2人乗りできるモデルだった。
短い船体でバランスを取るのが非常に難しく、荒れた水面での乗り込みには、ある程度のスキルが要求された。現在でも、狂信的なファンが多いジェット界の名機中の名機である。
「X-2」クラスにエントリーしたのは、10代の若手ライダーから60代のベテランライダーまで計8名。1995年に販売終了してから27年経った今でも、幅広い年齢層に愛されている機種である。
決勝に進出したのは、芳賀 毅選手と大畑 雄一選手というベテラン対決。軍配は、芳賀選手に上がった。
大畑 雄一選手のファーストブイ・アタック。迫力のあるライディングだ。
「X-2」クラスの結果
1位 芳賀 毅選手/決勝タイム:41秒51
優勝した芳賀 毅選手。予選タイムは40秒42とトップ通過。午後の決勝でも、大畑選手との一騎打ちを制して見事に優勝。
鬼門の「くるりんぱ」ブイも、難なくクリア。
優勝トロフィーを手に、笑顔の芳賀選手。
2位 大畑 雄一選手/決勝タイム:42秒71
大畑 雄一選手。今大会、奥様の麻美選手、お嬢さんの梨菜選手も出場し、家族で大活躍。
3位 佐藤 舞旺選手/予選タイム:40秒49
10代の佐藤 舞旺選手。「くるりんぱ!」以外はとても速かった。実際のレースコースに「くるりんぱ」ブイはない……。
予選タイムは2位の40秒49だが、「タイムから2秒引かれるボーナス競技」・YOUNG vs MIDDLEの勝負に負けたため、決勝進出ならず。勝負に対する“ジジイの執念”にやられた。
松田 清志選手/予選タイム:42秒88
松田 清志選手。彼もチャンピオンホルダーで、優勝候補であった。「Oh!! 猛烈!!」ってコマーシャルみたいな、素敵な昭和の男前! 無念にも、彼が走るときに水面が“これでもか”というくらいに荒れた。
谷合 洋選手/予選タイム:42秒11
谷合 洋選手。彼の笑顔は、他人を幸せにしてくれる。
勝山 学選手/予選タイム:45秒15
勝山 学選手。通称・勝山兄さん。今大会も、優勝を狙っていたはずだが、本番前にマシントラブルに見舞われ、芳賀選手のマシンを借りての参戦。このメンバーで優勝を狙うなら、マイ・マシンは必須アイテムだ。
谷本 裕太選手/予選タイム:47秒43
谷本 裕太選手。奈良県から参戦。キレのある走りを見せてくれた。
高橋 伸裕選手/予選タイム:47秒64
高橋 伸裕選手。村尾氏が彼を「キャサリン」と連呼するぶので、「なぜ?」と聞いたら「シッ!」と言われた。謎の「キャサリン嬢」。誰か知っていたら教えて!
「X-2」クラス表彰式
「X-2」クラス・リザルト
順位 |
選手名 |
1位 |
芳賀 毅選手/決勝タイム:41秒51 |
2位 |
大畑 雄一選手/決勝タイム:42秒71 |
3位 |
佐藤 舞旺選手 |
4位 |
松田 清志選手 |
5位 |
谷合 洋選手 |
Out a Time Sports #5 Gallery
応援に来てくれた上野 悟さん。本当は彼も参戦する側の人だ。
谷合 洋選手と清水 邦男選手。ズルいほど素敵な笑顔。
戦闘モードに突入する松田 清志選手。マシン調整に余念がない。
戦う男たちの素敵な笑顔。右端が大畑 雄一選手。
Troy Lee Designsのヘルメットが素敵だ。
このイベントの主催者・加藤店長のJETショップ「55HEVEN」。ジェットフィールド湘南の敷地の中にある。素敵なポスターが目印だ。
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