「今日は大阪の桜、満開やねん。天気が悪くて助かった」
昨日まで開催されていた「ジャパンインターナショナルボートショー」が終わり、いよいよマリン業界も活発に動き出す季節になってきた。
しかし水上バイクのショップ店長は、春になるのが怖いという。 理由は「満開の桜」だ。
昨年、兵庫県の淡路島で死亡事故が起きたり、明石市で危険走行の影像が流れたりと、世間から見た水上バイクのイメージは最悪だ。
その後、兵庫県では水上バイク関係者と協力し合って新たな条例を制定した。そのおかげなのか、それ以後は水上バイクに関する大きな事故やトラブルが発生していない。
今シーズン、まだ悪質水上バイク問題が落ち着いているときに、『花見に来ている人の前で暴走行為や危険走行を見せつける「モラルのない水上バイク」の映像がニュースで流されたらどうしよう』と件の店長は心配していたが、桜が満開の時期に雨が続いたことに本当に安堵していた。
水の上から見る桜は格別だが、時と場所を考えたほういい
街の中心部を流れる河川の堤防は「桜の名所」となることが多い。
大勢の人でごった返す陸上に比べて、水の上ではゆったりと満開の桜を楽しめる。そのため、ボートや水上バイクで花見に行くオーナーも多いのだ。
しかし、陸上で花見をしている人にしてみれば、水の上に浮かぶボートや水上バイクは「いまいましい存在」でしかないだろう。
ただでさえ好印象を持たれていないのに、たとえ1台でも“無法者の水上バイク”が走り回れば、その水面に浮かんでいる「全ての水上バイク」が同類に見える。
その店長は、「ウチのショップでは、音がうるさかったり、素行のおかしな水上バイクは上下架させないんだけど、他から降ろした水上バイクは分からない」と嘆いていた。
取材班の「花見」の苦い思い出
東京には、川沿いに花見スポットが多い。
今から10年以上も前の話だが、春先の特集記事のため、地元の優良水上バイクショップの案内で、「水上バイクで行くお花見ツーリング」という撮影を、桜のスポットとなっている都内の某川でしたことがある。
本誌は水上バイクの新しい遊び方の提案として1990年代から「水上バイクツーリング」の記事を掲載している。そのなかには、水辺にある各地の景勝地や名勝に行くことも多い。
その際、必ず「地元の優良ショップでローカルルールを教えてもらってから行ってください」と書き続けてきたが、残念ながら、そうでない水上バイク乗りも多く存在する。
ビルの間を抜ける景色は大都会・東京ならではだが、とてもゆっくり眺めるような心境にはなれない。
できるだけ静かに、スピードを落としてひたすら撮影ポイントに向かうことだけを考えて走った。
突然、「パトカー6台」に囲まれた日
事件は、目的地である桜の名所に到着したときに起きた。
カメラマンが桜と一緒に川に浮かぶ我々の姿を撮り始めた。 すると、遠くから何台ものパトカーのけたたましいサイレン音が響いてきたのだ。
我々が浮かんでいる場所から100mくらい上流に橋があり、下流側にも同じような橋がある。まず上流側の橋の上で数台のパトカーが停止した。
しかし、周囲からはまだ複数のサイレン音が聞こえてくる。あまりの物々しさに、私は近くで強盗事件か凶悪な事件でも起こったのかと思った。
気が付けば下流側の橋の上にも数台のパトカーが止まっていた。「もしかして、凶悪事件はこのすぐ近くなの!?」と少々焦ったが、今のところ実害はなさそうだったので撮影を続けることにした。
急にカメラのシャッター音が消えたので、不思議に思って見上げた私の目に映ったのは、上流と下流の橋から、我々を取り囲むように止まるパトカーが6台!? 完全に包囲されていた。
さらにバイクや自転車で駆け付けた警察官を含めると、ものすごい人数の警官が我々を見つめている。
あのサイレン音は、我々を捕まえるためのものだと初めて気が付いたのだ。
海から来たとは思わず、違法に川に降ろしたと思われていた
警官の1人が、「何をしているんだ」と怒鳴るように聞いてきた。 「桜の撮影です」と、水上バイクで川に浮かんだまま私が答えた。
「許可は取ってあるのか?」と警官。 「許可? ここは普通に水上バイクやプレージャーボートが走行できる場所です。だから、特別な許可は必要ありません」と私。
私は川の側面に垂れ下がっている、大きなビニールの標識を指さして読み上げた。 「プレージャーボートは右側通行」。
「ふざけるな! だいたい君たちはどこから来たんだ?」 「海からです」。 「海から??」その瞬間、集まった警官からざわめきが起こった。
質問してきた警官はキョトンとした顔で「海から来られるのか……」と、自分に言い聞かせるように言った。 「はい。海から川に入り、桜と水上バイクの撮影に来ました」と説明をする。
すると、我々を取り囲んでいたものすごい数の警察官は、何にも言わないで、いきなり全員がスーといなくなった。
取り囲んだ警察官たちは、都心のド真ん中の川に浮いている我々を見て、重機などを使って、違法にこの川に水上バイクを降ろして走り回っていたと思ったのかもしれない。
多分、途中で通報されたのだろう。「馬鹿な無法者たちが、どこかで水上バイクを降ろして、川を暴走している」と。
何の説明もなく去ってしまったので、囲まれた経緯は分からずじまいだった。
警察官が去ったあと、水上バイクのシートにへたり込んだ。そのときは気が付かなかったが、私自身、かなり動揺していたようだった。
生まれて初めて、あれだけの数の警察官に「悪意を持って」囲まれたのだ。
悪質な水上バイクを見たら、すぐに通報を!
10数年前の出来事であるが、この一件で、「水上バイク」が、いかに苦々しく思われているか身に沁みた。
自分がとんでもない極悪人と決めつけられて、囲まれ、睨まれる経験など2度としたくない。思い出すだけで、今でも背筋が寒くなる。
我々は3台だったが、台数が増えればおかしな無法者が出てくる確率が増える。
どうか、「不快な水上バイク」を見たらすぐに通報して、取り締まってもらいたい。
一般の皆さんと同じように、マナーの悪い水上バイクを本気で迷惑だと思っているのは、善良な水上バイクユーザーである。
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