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「水上バイクで人命救助」を部活動として行っている山口県の「大島商船高等専門学校・ PWCレスキュー隊」が「MJCマリン賞」を受賞した。!(水上バイク)

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「水上バイクで人命救助」を部活動として行っている山口県の「大島商船高等専門学校 PWCレスキュー隊」が「MJCマリン賞」を受賞した。

MJCマリン賞とは
「MJCマリン賞」は、競技スポーツにとどまらず、海に関するユニークな活動、学術的研究、安全普及、環境保護、ボランティアなど、広範な「海洋文化の普及」活動に携わってきた人々に贈られる賞である。



受賞した「大島商船高等専門学校 PWC レスキュー隊」は2011年に発足し、2014年に同校の正式な「部活動」として認められた、全国で唯一の「学生による水上バイクレスキュー隊」である。*PWCとは(パーソナル ウォーター クラフト)の略称で、「水上バイク」という意味である。

部活内では、レスキュースキルの向上はもちろんのこと、ジェットの操船時の遵守事項や利用水域の航行ルール、安全知識を習得しながら、地域イベントでのパトロールやレスキュー支援、デモなどを行っている。

インターナショナルボートショー会場で行われた表彰式後、レスキュー隊の発起人である幸田三広教授と、同校・水上バイクレスキュー隊の井上健太郎さんに時間を取っていただき、「水上バイクレスキュー隊」についていろいろと話を伺った。


「MJCマリン賞」を受賞した皆様。
山口県の「大島商船高等専門学校」レスキュー隊の発起人である幸田三広教授(左)と、同校・水上バイクレスキュー隊の井上健太郎(右)さん

2011年に「PWCレスキュー隊」を発足した

PWCレスキュー隊長で、大島商船高等専門学校 幸田三広教授 特別インタビュー

WJS 幸田先生は、なぜジェットを使ったレスキューを部活動として行おうと思ったのですか?

幸田 私、体育教員なんですけど、同じ大学院だったライフセーバーの仲間から「こんなのがあるよ」って水上バイクでのレスキューを教えてもらったんです。

WJS 水上バイク=PWC(パーソナル ウォーター クラフト)で行うレスキュー活動、安全講習を見に行かれた?

幸田 はい。島根県で行われてたんですが、そこに見学に行って、「これは良い。ウチは"船の学校"なんだから、絶対に必要、コレ船に入れられるじゃん」って思った。

WJS 「大島商船高等専門学校」は、船乗りを養成する学校なのですか?

幸田 もともとは"船乗り"ですが、今は3学科(商船学科、電子機械工学科、情報工学科)あります。

WJS 学校にジェットを導入したのは何年前ですか?

幸田 2009年モデルの水上バイクを買う前ですから、14年以上前です。

WJS そんなに以前から、学校にジェットがあるのですか?

幸田 はい。学校に大きな練習船があるのですが、当時の船長が予算を取ってくれた。「水上バイクを使ったレスキューの指導科目を入れてくれ」、「500万円の予算枠を取ったからジェットを2台買え」と言われて買わせてもらいました。

WJS なぜ練習船の船長は、「ジェットを買え」と言ってくれたのですか?

幸田 「これからの時代は船だけじゃダメだ。“水上バイク”っていうモノが、効果が出てきている」って理解しておられた。船業界も「3K(きつい・汚い・危険)」と言われている時代で、なり手も少なかった。

「こういう楽しい乗りモノの話題を発信したほうが、学生のウケはイイはず、これは絶対に良いよ」って。そういう先見の明がある船長だったんです。


大島商船高等専門学校の練習船。船長に「水上バイク(PWC)・レスキュー活動」への理解があった。

PWCレスキューを「どうやって学校に導入するか」ずっと考えていた

WJS 先生は、いつからPWCでレスキュー活動をしているのですか?

幸田 15年くらい前、2005、6年あたりかな。

WJS 始めたきっかけは何だったのですか?

幸田 島根県でのPWCレスキューの講習会。そのトレーニングを見てからです。

それで、「やっぱり“これ”はいい」って思い、「どうやって“学校で導入するか”?」をずっと考えていました。そのトレーニングはライフセービングと一緒になっているような形だったんで、「学校に取り入れたら絶対に面白い」ってピーンときたんです。

WJS それで2009年に、2台のジェットを買ったのですか?

幸田 実はその前から、中古のジェットが1台ありました。それはPWCレスキューを行っている団体から中古で買ったものです。当時、僕自身は「PWCレスキュー」を始めていましたが、
さすがに新艇では高くて買えない。「中古でいいですから安く譲ってください」って譲ってもらいました。

WJS 2009年に、500万円の予算でどの機種を買ったのですか?

幸田 国内で流通しているメーカーが3社なので、3社揃えたいと思っていました。元からあった中古が「SEA-DOO」だったので、「ヤマハ FX SHO」と「カワサキ ULTRA260」を買いました。

メーカーごとに全部取り扱い方法が違いますよね。絶対、これを学んでいた方がいいので3社揃えたんです。

WJS すべてが「学生に教える」という"考え" それがベースにあるのですね。

幸田 今年3月に練習船「大島丸」が新しくなりました。それに水上バイクを"搭載する"ということで、新艇の「ULTRA 310LX」が2台来ることになっています。



すべてのメーカーのジェットの扱い方を学ぶ。

「助けた"後"」でなく、「助ける"前"」の教育が必要!

「水上バイクのレスキュー」なら教えられる、新たな教育!


「助けた"後"」でなく、「助ける"前"」の教育が必要!「水上バイクのレスキュー」なら教えられる

WJS 普通の学校ではジェットを購入してくれないですよね。

幸田 ウチの学校では、人命救助の「心肺蘇生法」にすごく力を入れています。でもそれは、レスキューしたあとの心肺蘇生法だけど、ジェットがあったら、その前の「レスキューする」っていうところから始められる。

WJS 確かにジェットで助けたら、すぐに心肺蘇生ができますね。その分、助かる確率も高くなります。

幸田 船乗りになる子たちは、普段から"でっかい船の上"に乗っているだけで海に入ることもない。海の"恐さ"や"冷たさ"も知らないし、海の流れも体験もしたことがない。水上バイクだったら、海の上と同じレベル、水に近いところで"飛び込んだり"っていう、そういうのを体験したほうが、船に乗っても絶対に生かされる。そこで、「これをやりましょう」となりました。

WJS 部活動の一環として、生徒が「水上バイクでレスキューする方法」を習うわけですか?

幸田 はい。ジェットでただ乗って遊ぶことよりも、人命救助とか何か"人の役に立てる方法"に興味がありました。将来、船乗りになる生徒もいるので、そういうところに生かせればいいなと。就職のときに、「これ(PWCレスキュー)やってます」って言えたらいいだろうって。実際、それで就職できている子もいるので。


学生だけで行う、人命救助レスキューのデモンストレーション!

「PWC レスキュー」 教育を通じて、「何かあったときに「傍観者」には“ならない”」という“気持ち”を育てたい!

WJS 設立しても、部員を集めるのは大変ではなかったですか?

幸田 「乗りたい人いる?」って聞いたら、「やりたい」って商船学科の子たちは言うんです。でも乗るだけじゃダメ。「レスキューだからね」って言いながら。

WJS どのようなスケジュールで活動しているのですか?

幸田 新年度が始まって、海が冷たくなくなるくらいの5月の連休あたりから、週1ペースで活動をしています。週1回の部活動の時間にジェットを降ろして、あとはオープンキャンパスが年に3回あるので、そこで「レスキューのデモンストレーション」を行います。

WJS 他の部活と違って、大会も活動を発表する場もないですよね?

幸田 はい。どこで発表するかっていうと、オープンキャンパスです。学校に中学生が来て、その親も来ます。そのときに、学校の練習船に乗ってグルっと1周クルーズして帰ってくるんですが、その船に5、60人くらい乗っているので、「今からデモンストレーションしますから、見てください」て。

そうしたら、みんながすごく興味を持って見てくれる。「このクラブ(PWCレスキュー隊)に入りたいんで、この学校を選びました」っていう子が、最近チョコチョコ出始めました。

WJS レスキューのデモンストレーションは、何をするのですか?

幸田 「溺れた人の人命救助」です。溺れている人の意識のあるパターン、意識のないパターンの2通りをやります。全部学生がやるんですが、ピックアップから始めて、救助するまでを目の前で見せます。中学生の子たちは初めて見るので、ワーッとなります。

その後に、水上バイクに体験乗船したい人の希望者を募って、僕が後ろに乗せてあげて1周して帰って来るっていうのをやります。


溺れている人を助ける人命救助レスキューのデモンストレーション

希望者を募って、水上バイクに体験乗船、みんな喜んでくれる!


「事故が起きたときに「傍観者」には“ならない”」という“気持ち”を育てたい!

午前午後くらいでやるんですが、とっても楽しそうにしてくれます。あとは、学校に水上オートバイを展示しています。

WJS 部活動では、何をしているのですか?

幸田 どちらかというと救助よりも操船のほうをメインにしています。本当に乗ったことがないので怖いんですよ、ぶつけそうで。最初は、ブイを置いてそれにタッチしたり、行ったり来たりとか、溺れている人に見たててギリギリで行くとか、そんなのを繰り返します。操船に慣れてきたら、今度は沖のほうで実際にレスキューのトレーニングをやっていく。

WJS レスキューのやり方も大事だけど、ジェットに慣れることが大切なのですね?

幸田 レスキューの方法を教えても、実際にレスキューをする場面はほぼ来ないです。それよりも、船に乗ったり、ジェットに乗ったりすることで得られる経験であったり、そこに至る気持ちであったり、人が溺れている現場で助けようとする“思い”であったり、そういう“精神”を育ててあげたい。

決して「傍観者にならない」っていう心構えが一番の教育なんです。

WJS 運転の上手い人は、レスキューも上手ですよね。こればっかりは慣れるしかありませんよね。

幸田 そう思います。でも週1回だとなかなか慣れない。それに人数が多いとあまり乗る時間も取れないので、そこはちょっと悩みのタネです。だから今、台数を増やそうって校長が頑張ってくれています。

WJS こういった活動が全国的に広まってくれるといいですね。

幸田 今回、こういった表彰をされたことが明るい情報です。日本全国に商船高等専門学校が5校あります。今回、ウチが新しく練習船を入れたんですけど、他校も順次、船を導入している。その船にレスキュー用に「水上バイクを乗せる」っていう話をしています。「1艇は“救助用”に乗せましょうよ」って。

WJS ジェットは機動力があります。“乗れる人”がいたら心強いです。

幸田 ジェットを乗せたら、今度はそれを使えなきゃいけない。これは「PWCレスキューを広められるな」って思っています。それをウチの校長と企んでいます。


学校に水上オートバイを展示している。

マイクロプラスチック・ゴミを回収する装置をジェットにくっつけて回収、その研究・開発を始めている。

水上バイクで社会貢献を

いつの日にか「マイクロプラスチックゴミ」を 水上バイクで回収できるようにしたい

WJS 今、世の中には「水上バイクが悪」といった風潮がありますが、周囲から"学生をジェットに乗せる活動"を「やめろ」と言われることはないですか?

幸田 直接はないです。学校として活動しているし、人命救助でやっていると分かっているので、ないですね。

WJS ジェットに乗る部活ということで、 白い目で見られることは ありません でしたか?

幸田 ずっと見られていました。意味がないって。学内でもそう。「幸田があんなにお金を使って、勝手にあんなことやってる」って、ずーっと思われていた。「何であんなことやってんの?」「何の意味があるの?」って。でも社会貢献できるという確信があったのと、少ないけれども応援してくれる人がいたので続けられました。

WJS 今、目標にしていることはありますか?

幸田 社会貢献活動としての「マイクロ プラスチックゴミ」の回収、水上バイクをレジャーじゃない部分で頑張ってみたい。学校なので、ちょっと学術的なところで発表したい思っています。そうしたら、世の中の見方もちょっと変わってくれる。「ジェットってこういう部分もあるんだ」っていうことを示せたら、そういうのが私たちの役割だと思います。

WJS 幸田先生は最終的に、「PWCレスキュー隊」をどのようにしていきたいのですか?

幸田 人命救助だけにとどまらず、環境問題にまで行きたい。

現在、マイクロプラスチック・ゴミを回収する装置をジェットにくっつけて回収しようとか、その研究・開発を始めています。

WJS ジェットでゴミを拾うのですか?

幸田 海の上を走ると、潮の境目とかにゴミがいっぱい浮いていますよね。ああいうのをジェットで回収できれば、ちょっとは環境問題にも貢献できる。

WJS 素晴らしい考えだと思います。

幸田 ジェットはただ走るだけじゃない。そういう活動ができるんです。「こんなゴミがありました」っていうのを子どもたちに見せて、「もうちょっと自分たちの生活を考えよう」とか、ジェットを使ってそういう教育に結び付けられないかっていうのを考えています。

WJS 学生に教えたいのは、「世の中のためになる」ということですか?

幸田 そうです。学校なのでそういうことを教えていかないといけない。乗ることだけじゃないということです。

WJS 「PWCレスキュー隊」の活動は、これからまだまだ広がる可能性があるわけですね?

幸田 これからだと思います。


ジェットにくっつけて、マイクロプラスチック・ゴミを回収する装置。

回収された、マイクロプラスチック・ゴミ。

真剣に作業する学生たち。

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