昔から、日本のウィメンクラスは、世界的にも非常にレベルが高いことで知られている。
ジェットスポーツが最も華やかだった1990年代前半、ウィメンクラスの全日本チャンピオン・松口久美子氏はアメリカのPJS社の契約プロレーサーとして、アメリカツアーに参戦していた。野球で例えると、日本のプロ野球選手が、メジャーリーグベースボールを飛び越え、アメリカン選抜オールスターチームの契約メンバーになるくらいの偉業だ。
その後も、尾澤聖子氏、金森絵海氏、倉橋優樹氏、久米由紀子氏がアメリカのワールドファイナルで世界チャンピオンを獲得している。
全日本チャンピオンにも、服部 恵(旧姓:山下 恵)氏、植原美鈴氏、重永久美子氏、石川恵奈美氏、小林 愛氏、田中エミ氏ら、世界でも活躍できる実力のある選手が存在していた。
しかし、ここ最近では世界との差は大きく開き、日本女子のレベルは、明らかに“落ちた”と言われてきたのも事実である。
それが今、ウィメンクラスの選手の実力が急成長している。
今大会のエントリーはわずか4名だが、全員、親たちが娘のレースに「熱い思い」を抱いている。彼女たちは皆まだ若く、1人では参戦できない。家族や先輩、仲間たちに応援されながら一緒に戦っているのだ。
前回の山口大会で本誌は、勝利した鎌田 六花選手をフューチャーした。編集部の長年の経験から、それが「若い選手のモチベーション」を高める起爆剤になることを確F信しているからだ。
予想通り、今大会の鎌田選手は、前回大会よりもさらにパワーアップした姿を見せてくれた。
多分、前回の大会が終わってから、相当ハードな練習を積み重ねてきたのだろう。「流した汗と、努力は嘘をつかない」とは、まさに今大会の彼女のことだ。
一生懸命、純粋に努力を重ねる"姿"はそれだけで人の心を打ち、きっとファンにさせられる。
今大会、ウィメンクラスのエントリーは4人だけだが、全員が切磋琢磨して、己の技術を高める努力をしている。2、3年前の彼女たちと比べて全員が格段の進化を遂げ、レベルの高い戦いを繰り広げている。
鎌田選手は、前回の山口大会ではHEAT1で1位、HEAT2で2位となり、総合優勝をもぎ取った。そして今大会では、2ヒートとも1位の完全勝利を飾っている。
山口大会では「チャレンジャーの走り」だったが、今大会は「王者のレース」に変わったように見えた。
また、昨年12月にタイで行われたワールドカップのMOTO1でも勝利している。世界で通用する実力を、着実に身に付けている最中だ。
若い選手は、何かのきっかけで急成長する。
期待をされた人ほどその通りの成果を出せるという説がある。それを「ピグマリオン効果」と呼ぶが、鎌田選手もトコトン誉めて「テッペンまで登ってもらいたい」という気持ちを込めて、今大会は「GOGO! ROKKA」である。前大会よりも「GO」をひとつ増やしてみた。
本誌は、鎌田選手だけでなくウィメンクラス全員の成長を、読者の皆様と一緒に楽しみたいと思っている。
スキークラスは「実力通りの結果」しか出ない。全員がほぼ同世代でライバルという現状は、練習をしないとすぐに置いて行かれるということでもある。日々、努力を続ける彼女たちは、これからますます強くなっていくはずだ。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 鎌田 六花(SKU46H Racing) |
2位 | 金子 真珠(CLEVER) |
3位 | 湯島 楓(Team Shindy) |
4位 | 川原 愛南(55HEAVEN) |
4月14日(金)~16日(日)の3日間、長浜さいかち浜(滋賀県・琵琶湖)において、「ALL JAPAN JET SPORTS SERIES 2023 2st STAGE」と「AQUA BIKE 全日本選手権シリーズ(国土交通大臣杯)」の2カテゴリーのレースが開催された。琵琶湖でレースが行われるのは、2001年の琵琶湖で行われたJJSBA主催のワールドカップ・ジェットスキー・チャンピオンシップス以来22年ぶりとなる。
琵琶湖は「ジェット乗りの聖地」と呼ばれ、長きに渡ってジェットユーザーに愛されてきた。しかし、マナーの問題や住民からの苦情が多数寄せられたこともあり、レースが開催されなくなったのだ。
今回、地元の 市議会議員 中川リョウ先生や、地元のショップ・エクセルグループやL&Bの尽力により、開催が可能となった。
JJSAのスタッフならびに琵琶湖開催に尽力したすべての人々にお礼を言いたい。今、世間から思われている「悪いジェット」のイメージを変えてくれる"きっかけ"になれば、とても嬉しいことだ。
当日の天候は雨模様とあまり良くなかったが、そのおかげか水面はドベタの平水。マシンのポテンシャルが、勝敗を分ける重要な肝となった。
ここでは、「Pro Ski GP」「Expert Ski GP」「A SKI SLTD」「A SKI-X SLTD」「Pro-Am Women Ski STK」「B SKI STK」「B SKI-X STK」「SKI SuperJet」「M Ski GPM Ski GP」「M Ski」「M SKI-X」の全スキークラスカテゴリーを紹介する。
Pro Ski GP クラスの総合優勝は「20歳の佐藤 颯志選手」である。佐藤選手は、2022年からプロクラスに上がったばかりで、昨年は総合12位と目立った選手ではなかった。それがここにきて大きく化けた。
前回の山口大会でもMOTO 3で3位に入るなど速さの片りんは見せていたが、今大会、3ヒートある全てのレースで「ホール トゥ フィニッシュ」の快勝。ホールショットの獲得率90%以上の平阪 勇助選手を相手に、1度も負けない走りを見せてくれた。
「我が業界にも、若手が育っているんだ」と思わせてくれると同時に、「やはりトップカテゴリーのレースは違う」と思わせてくれる、見ごたえのあるレースであった。
MOTO1からMOTO3まで、すべてホールショット。コーナーでは激しく体重移動し、低くて超攻撃型なライディング・フォームを見せてくれる。
「1週間ぐらい前からセッティングが決まり、マシン&ライダーの調子が上がっていて"勝てる"って思っていました」と佐藤選手。
エンジンチューンはマリンメカニック埼玉の小西洋一氏。
MOTO1終了直後、小西氏にこの後のレース展開を予測してもらったら、「MOTO2以降はみんなが颯志を潰しに来る。勝つのは簡単ではない」と言うが、全く動じずホールトゥフィニッシュ!
ゴール後、大きくガッツポーズ。
MOTO3もホールトゥフィニッシュで、今大会、誰にも前を走らせなかった。
初優勝なのに、そんな雰囲気を感じさせない。
これだけメンバーの中で完全優勝! 佐藤 颯志選手、衝撃の走りであった。
久しぶりに「速い片山 司」が帰って来た。役者が揃ってこそ、レースの面白さは倍増する。
片山選手の調子が上がれば、レース観戦の楽しみが増す。
昔から、「立乗りのスーパースター・片山 司」。
総合3位の倉橋 秀幸選手。表彰台に上がっても、後方からの追い上げを見せても、全員を抜かなければ、「秀が抜けなかった!」と言われてしまうほどの超実力者だ。
優勝候補でホールショットのスペシャリスト・平阪 勇助選手。驚くのは今大会、1度もホールショットを獲れなかったことだ。
今大会も好調に見える平阪選手。ホールショットが獲得できなくても、最後までペースが落ちない。
全日本の「ミスタースタンドアップ」は健在だ。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 佐藤 颯志(#1 POUND ONE) |
2位 | 片山 司(ZERO) |
3位 | 倉橋 秀幸 |
4位 | 平阪 勇助 |
5位 | 桜井 直樹(#1 POUND ONE) |
6位 | 海老原 祥吾(SKU46H Racing) |
7位 | 服部 和生(UNLIMITED) |
8位 | 日高 瑞夫 |
9位 | 山﨑 友裕(超Ponkan Racing) |
10位 | 斉藤 貴彦(UNLIMITED) |
11位 | 竹田 憲二 |
12位 | 山本 陽平(Team YRF) |
13位 | NIPATCHAROEN AKIN(UNLIMITED) |
14位 | 釘崎 勇真(Team Shindy) |
スタンドアップの最高峰クラス、Pro Ski GPの熱き戦い。
日本で発売したばかりの「Pro Froce 3.0」国内レースに初登場。レーサーは山﨑 友裕選手。将来の有望株だ!
山﨑選手は、今年A SKIクラスから昇格したばかりのライダーだ。今大会9位とGPクラスの洗礼を受けた。
新しい船体「ハイペリオン」を製造するタイ企業の若きリーダーが、自社のマシンに乗り、日本のレースに参戦。アキンニ・パチョレル選手。
服部 和生選手が乗るレース艇は、VK COMPOSITESが製造した「RIVAL」というマシンだ。船体は「HYPERION(ハイペリオン) GP HULL」が使われている。「ハイペリオン」という船体の製造がアキンニ・パチョレル氏で、開発テストライダーを服部選手が行っている。
服部 選手は前回の山口大会にもこの「RIVAL」で参戦し、MOTO2で3位を獲得している。今大会もMOTO3で2位になるなど、これからさらにマシンの開発が進み、成績が上がってくる予感がする。
釘崎 勇真選手(写真左)と父でありレーサーの真治選手(右)。釘崎 勇真選手は現在、ドバイで仕事をしており、日本とドバイを行き来してレースに参戦している。
国内スキーの最高峰「Pro Ski GP クラス」、MOTO3のスタートシーン。
完璧なスタートでホールショットを獲得した上田 真利奈選手。
インコースのホールショットを獲得した佐藤 舞旺選手が背後から迫ってくる。
選択コースで勝負を仕掛ける佐藤選手に対し、僅差でトップを死守する上田選手。
ワンミスで逆転される緊張のレースを、最後までノーミスで走り切っての勝利。
苦しみが大きいほど、得るものも大きい! この勝利は、上田選手にとって非常に大きな自信となったはずだ。通常のレースでは得られない価値の高い勝利である。
勝利直後。いつも応援してくれるお父さんとハイタッチ!
今シーズン、Expert Ski GPクラスで全勝優勝を目指していた佐藤 舞旺選手。攻めの走りでギャラリーを沸かせた。
最初から最後まで2位を走行し、トップを走る上田選手を攻め続けた。特に、レース終盤の追い込みは見事であった。
レース終了直後。佐藤 舞旺選手(写真右)と、上田 真利奈選手(左)。
3位は志水 秀行選手。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 上田 真利奈(Team武蔵) |
2位 | 佐藤 舞旺(TEAM SPEEDMAGIC) |
3位 | 志水 秀行(マリンメカニック) |
4位 | 増子 隆二(チームビークル) |
5位 | 塩田 智晴(TEAM T5R) |
6位 | 陣川 雄大(RACINGTEAM JSPT) |
7位 | 金子 真珠(CLEVER) |
8位 | 増子 隆吉(チームビークル) |
9位 | 上坂 和成(TEAM seaZracing) |
10位 | 大滝 純平(TEAM M.P.S) |
今大会、お手伝い&応援に駆け付けた小林 愛選手(写真左)と碩 亜由美選手(右)。
ホールトゥフィニッシュの見事な勝利!
優勝した平 晃一選手(写真右)と、川原 愛南選手のお父さん(左)。
前回山口大会ではいまひとつの成績だったが、今大会は総合2位となった森 茂選手。
3位入賞の中島 正晴選手。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 平 晃一 |
2位 | 森 茂(TEAM M.P.S.) |
3位 | 中島 正晴(FORCE Racing) |
4位 | 横山 亜土夢(AUTO SWAP.F.R) |
5位 | 鳳山 世紀(5tec) |
6位 | 佐藤 和輔(SKU46H Racing) |
7位 | 齋藤 恵利子(Team EAST JAPAN) |
8位 | 杉森 守(Racing MOTOINE) |
9位 | 湯島 楓(Team Shindy) |
10位 | 高橋 肇(TEAM seaZracing) |
11位 | 奈良井 好典(KHKレーシング) |
12位 | 下園 光司(Racing MOTOINE) |
練習走行で吹っ飛んだ平 晃一選手。練習で攻めた走りができるから勝てるのだ。
ハイドロフォイル(水中翼)を取り付けたウインドサーフィンが琵琶湖に登場。
齋藤 恵利子選手は7位。
「A SKI-X SLTDクラス」には、実力のあるベテラン選手が多くエントリーしている。
前回の山口大会でも優勝しており、2連勝の束村 智史選手。
HEAT 1で3位、HEAT 2で1位だった。
今大会、2ヒートとも2位で総合2位の山中 幸一選手。
MOTO 1でトップフィニッシュの井上 祥子選手。このクラスで、最も攻撃的な走りを見せているウィメンライダー。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 束村 智史(Racing MOTOINE) |
2位 | 山中 幸一(超PonkanRacing) |
3位 | 井上 祥子(Racing MOTOINE) |
4位 | 竹内 武年(Team EAST JAPAN) |
5位 | 小原 奨二(TEAM M.P.S) |
6位 | 原口 正之(Team EAST JAPAN) |
B SKI STKクラス1位・三宅 翔也選手(写真左)と、3位・中村 響選手(右)のバトル。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 三宅 翔也(超Ponkan Racing) |
2位 | 片山 龍星(ZERO) |
3位 | 中村 響(TEAM seaZracing) |
4位 | 齋藤 孝(Team EAST JAPAN) |
5位 | 多田羅 光代(JETS HAVAS) |
6位 | 柴原 俊 |
7位 | 西川 修(SNF Racing Team) |
8位 | 三上 龍(FORCE RACING) |
9位 | 熊谷 孝義(team EAST JAPAN) |
10位 | 清水 秀昭(FORCE RACING) |
1位は2ヒートとも1位の佐野 哲也選手。
2位は三好 達也選手。三好選手は、前回大会で優勝している。
3位は西川 修選手。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 佐野 哲也(JETS HAVAS) |
2位 | 三好 達也(JETS HAVAS) |
3位 | 西川 修(SNF Racing Team) |
元プロスキークラスのライダーだった梅原 雄一選手。今回はヤマハSuperJetで参戦。
MOTO 1はトップフィニッシュした紺田 茂生選手。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 梅原 雄一(USKN-RACING) |
2位 | 紺田 茂生(フォート マイヤース F.R) |
大人の男の熱き戦い
MOTO 1で2位、MOTO 2で1位を獲得し、総合優勝の上坂 和成選手。
前回山口大会に続いて、今大会も2位入賞の豊田 昭夫選手。
河口 勝則選手は、MOTO 1で4位、MOTO 2で3位の総合3位。
MOTO 1は1位だが、MOTO 2のノーポイントが響いて総合4位の山地 達也選手。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 上坂 和成(TEAM seaZracing) |
2位 | 豊田 昭夫(KHKレーシング) |
3位 | 河口 勝則(RACINGTEAM JSPT) |
― | 山地 達也(JETS HAVAS) |
優勝は木村 友治選手。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 木村 友治 |
2位 | 東野 亮治(KHKレーシング) |
3位 | 中島 優(USKN-RACING) |
4位 | 大滝 容弘(TEAM M.P.S) |
竹内 武年選手は、2ヒートともトップフィニッシュの完全勝利。
上田 裕選手は、MOTO 1、MOTO 2ともに2位。
宮本 稔選手は、MOTO 1で4位、MOTO 2で3位の総合3位。
北田 吉弘選手は、MOTO 1で3位、MOTO 2で4位。3位の宮本選手と同ポイントだが、レギュレーションにより総合4位。
MOTO 1、MOTO 2ともに4位で総合5位の今井 照久選手。
林口 忠雄選手のマシンは、思わず2度見してしまった「ハイシート」付き。
ハイシートなので、座ってコーナリングを行うのだという。スゴイ!
西村 裕史選手は総合7位。
順位 | ライダー名(チーム名) |
---|---|
1位 | 竹内 武年(Team EAST JAPAN) |
2位 | 上田 裕(Team武蔵) |
3位 | 宮本 稔 |
4位 | 北田 吉弘(Sea遊sports) |
5位 | 今井 照久(Precious Racing) |
6位 | 林口 忠雄(Precious Racing) |
7位 | 西村 裕史(チームビークル) |
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