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  3. 排気量と行動範囲の相関性 ジェットスキー(水上バイク)

より「遠くに行ける乗り物」が欲しいと思うのは、「人の本能」なのかもしれない

私が初めてオートバイを買ったのは16歳のとき。ヤマハの「パッソル」という原チャリだった。中学生までは自転車しか乗れなかったので、たかが50ccの原付オートバイを手に入れてから、私の行動範囲はものすごく広がった。

それから半年かけて、引越し屋のアルバイトで稼いだ全財産をつぎ込み、ホンダのCB400FOUR、通称「フォーワン(これは関西限定の呼び方だと後で知った)」を手に入れた。アフターパーツメーカーの「ヨシムラ」の集合マフラーやバックステップを装着し、それこそ毎日のように乗り回した。

「フォーワン」を手に入れ、オートバイの排気量が50ccから400ccと大きくなるのと比例するように、当時の私の行動範囲は一気に広がった。
オートバイの排気量は、これ以上大きくならなかったが(18歳になったら車に夢中だ)、仮に400ccを750ccのオートバイに乗り換えていたら、さらに行動範囲は広がったと思う。

オートバイは排気量が大きくなるにつれ、車体や総重量も重くなる。自転車代わりに街乗りするなら50ccの原チャリが最高だし、アメリカ大陸を横断するような長距離走行なら1,000cc超の大型オートバイが楽だ。排気量の差によって行動範囲が変わってくる。

「エンジンの排気量」と「行動範囲」には、何か特別な関係がありそうだ。
車の場合でも、軽自動車で長距離を走り続けるのは疲れるし、大型のアメ車で街中をちょこまかと走るのもしんどい。つまり、適材適所ということだ。

ジェットにおける「行動範囲」と「排気量」の相関性について考えてみる

では、ジェットの場合はどうだろう。
ジェットのエンジン排気量は、オートバイと比較するとかなり大きい。
市販艇の最少排気量のスーパージェットでも700ccもある。400ccのフォーワンに乗っていた私からすれば、700ccのオートバイなんて、とてつもなく大排気量マシンだ。
だが、スーパージェットを「大型水上バイク」とは思わない。むしろ、小さくて可愛いと思っている。このあたりが、ジェットという乗り物の特性なのかもしれない。

仮に、ジェットで東京から大阪までツーリングしたとすると、単純計算で直線距離は400kmだ。しかしジェットは、岸から2海里以上離れられないので、海岸線に沿って走ることになる。かなり走行距離は増えるだろう。1日で着かないかもしれない。

もし、「1,800cc、250馬力のヤマハFX SVHOと、900cc、90馬力のシードゥ・スパークなら、東京から大阪までどちらが楽に走れるか?」と聞かれたら、「当然、FX SVHO」と答える。クルマやオートバイと同じように、ジェットにも「エンジンの排気量」と「行動範囲」関係は確実に存在する。

しかしジェットの場合、クルマやバイクほど単純ではない。各メーカーのフラッグシップの総排気量の大きさと馬力が比例していないからだ。
ヤマハのフラッグシップは排気量1,800ccで250馬力、シードゥは1,630ccで300馬力、カワサキは1,500ccで310馬力。排気量的にはヤマハが一番大きいが、馬力ならカワサキだ。
かといって、軽自動車と大型アメ車ほどの違いがあるわけでない。

荒れる大海原を、長時間、アクセル全開で走れるわけがないし、ある速度域で走り続けるのなら、フラッグシップであれば、メーカーごとの違いはそれほど感じない。

しかし、排気量900cc、90馬力のシードゥ・スパークで、フラッグシップと一緒に長時間走り続けるのは体力的にはしんどい。カワサキSX-Rのように排気量が1,500ccあっても、スタンドアップで長距離を走るのは大変だ。ジェットの場合、排気量や馬力だけでなく、船体サイズも「行動範囲」に大きく影響してくる。

さらに、フラッグシップでも、マシンコンセプトがツーリング寄りかスポーツ寄りかによって、体力的なキツさは変わる。
だから、ジェットの場合、「エンジン排気量&開発コンセプト」の違いによって、「行動範囲」が変化するのだ。
遠くまで走りたいならそういう機種を選ぶ必要があるし、ファントゥライドを追求したかったら別の選択肢になる。クルマやバイクほど機種は多くないのに、ジェットの機種選びは奥が深い……。

シードゥ・スパーク、排気量900cc、90馬力 軽量コンパクト、水上のモトクロッサー。

カワサキ・SX-R、排気量1,500cc、112馬力 「遠くに行く」というよりは「近くでも楽しい」

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