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20万円で買った中古艇「ヤマハ 1200GP」が楽しすぎて50万円かけてドレスアップした話 ジェットスキー(水上バイク)

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20万円で買ったけど、50万円かけても惜しくない。1997年製「YAMAHA MJ-1200GP」の魅力

ヤマハMJ-1200GP(以下、1200GP)は、今から23年前に発売されたマリンジェット。当時、PWC業界最大排気量1,200ccの最強エンジンと、高い敏捷性を実現する高性能ハルにより、スピードを愛するライダーを夢中にさせたモデルである。

今回紹介する1200GPのオーナーは岡田さんという。神奈川県鎌倉市のジェットショップ「SPLASH TOYS 鎌倉(スプラッシュ トイズ カマクラ)」のお客さんである。

現オーナーの岡田さんが買う前に、前オーナーの依頼でオーバーホールを行ったが引き取りに来なかった。仕方がないので、その後、数年間、ショップの外に放置していたそうだ。

それを去年、岡田さんが20万円で購入した。買ったばかりのときは、そのままの外観で乗っていたそうだが、コンパクトサイズで爽やかに走る1200GPをとても気に入り、最終的に、このように美しいペイントを施したという話だ。


20万円で購入したジェットに、ペイント代やパーツ代など計50万円払い、結局、総額70万円のジェットになった。しかし、それだけかけても決して高い買い物ではないようだ。

オーナーは、最新モデルのランナバウトも所有しているそうだが、今はこの1200GPばかりに乗っている。何より、他に比べるべきものがないことが、最高の喜びだろう。

取材班もこの1200GP試乗させてもらったが、「走る喜び」というだけなら、現行モデルよりも上だと感じた。

写真右:の本誌7号(1996年11月10日発売)に掲載されたヤマハの広告である。
今のフラッグシップから見ればかなり小さく見えるが、デビュー当時は堂々のフラッグシップモデルであった。
「ライバルたちを圧倒するスーパーマシン、鮮烈にデビュー。ウォータービークルの基準を塗り替える、ハイ・グレードモデル」というキャッチコピーからもそれが伺える。

これだけキレイなカラーリングだと、「現行モデル」と言われても納得しそうだ。

古いジェットほど、オーバーホール代がいくらかかるか、やってみないと分からない

もともとこの1200GPは、数年前に、前の持ち主がSPLASH TOYS 鎌倉へオーバーホールの依頼で持ち込んだものだった。そのとき店長の城戸さんは、オーバーホールに反対したという。理由は「修理代が高額になる」からだ。

古い2ストーロークエンジンは、バラさないと正確な状態が分からない。交換すべきが部品が分からないから、修理代がいくらかかるかも分からない。交換する部品数によっては、パーツ代だけで30万を超える場合もある。それに工賃がプラスされるので、トータル50万円を超えるかもしれない。「そんなに払うのなら、別の中古艇を買ったほうがいいですよ」と、アドバイスしたそうだ。

しかし、「どうしても、この1200GPが良いので、オーバーホールをやってくれ」と聞かなかった。城戸店長は、仕方なくエンジンをバラして、オーバーホールに取り掛かったのだ。

プロジェットショップ「SPLASH TOYS 鎌倉」で、完璧にレストアされたエンジン。

オーバーホールって、いくらかかるの!?

ひと口に「オーバーホール」と言っても、ジェットの状態や、店によって金額はバラバラだ。今回は「SPLASH TOYS 鎌倉」が実際にお客さんに出した見積もりを紹介する。

正確な見積額を算出するためには、エンジンをバラして、内部を確認する必要がある。使えるパーツ、交換すべきパーツを全て把握し、新たに発注する部品の総額と、作業時間に対する工賃の予定額をお客様に提示する。

しかし、それはあくまで「見積もり金額」であって、実際にかかる金額は作業を始めてみないと分からない。
例えるなら、医者がガンの手術で病巣を取り除いたら、その裏側にも転移していて、最初の予定とは違うオペが必要になるというようなものだ。

オーバーホールも同様で、作業を進めて行くうちに状況が変わるケースがある。
その際、「全てのパーツを取り換えなければならない」と判断を下すショップもあれば、「まだまだ使える」と判断をするショップもある。
また、工賃は作業時間から算出されるので、同じ作業でも、手慣れたショップならかかる時間は短い。

新艇の場合は、交換部品や作業時間の目安がメーカーから出されているので、それほど金額の差は出ない。
しかし、この1200GPのように販売から20年以上経過しているものは、ある意味、値段があってないようなものだ。
納得できるかどうかは、ショップとの信頼関係だけなのである。このあたりは、お客さんが自分に合うジェットショップを選ぶしかない。


写真左:「SPLASH TOYS 鎌倉」が、オーバーホールを持ち込まれた当時、持ち主に提示したメモ(見積もり額)である。
写真右:今回ペイントを担当したヒロキックスデザインの佐々木弘樹氏(左)とSPLASH TOYS 鎌倉のスタッフ、渡部氏(右)


作業を開始したら、持ち主がバックレて音信不通に!?

ヤマハとカワサキ艇の場合、かなり古いパーツでも、メーカーが“頑張って”在庫を持ってくれている。だから、意外と絶版機種でも純正パーツが入手しやすい。

1200GPを見積もると、純正部品代だけで原価が40万円もかかることが分かった。そこに工賃をプラスすると、60万円を超える金額になる。「それでも作業を進めてください」と持ち主からの要望があったので、城戸店長はオーバーホールを開始したのだ。

その後、修理を始めると取り換えなければならない部品が出てきた。何度か追加料金の確認で連絡をしているうちに、突然、その持ち主と全く連絡が取れなくなってしまったのだ。

オーバーホールは完了したが、引き取りに来ない。作業前に手付金として預かっていた20万円だけしかお金はもらえず、1200GPだけがショップに残ってしまった。
それ以降、ショップ裏手の屋外でジェットカバーをかけて、ずっと置きっぱなしにしていたところ、いつの間にかカバーの一部が風でめくれ上がっていた。気が付けば、写真のようにデッキに木が生えていたそうである。


ショップ裏手で、ずっと置きっぱなしにしていたらデッキに木が生えていた。新しいオーナーは、木が生えたジェットを買っていったのだ!

「相思相愛」運命の出会い!

ある日、SPLASH TOYS 鎌倉に「小さなジェットを欲しい」というお客さん(現オーナーの岡田さん)が来たので、この1200GPを見せたという。オーバーホールは終わっているから、エンジンは快調にかかる。すると、「すぐに買います!」と岡田さん。現状渡しで、20万円で売ったのだ。
オーバーホールに60万円かかっているが、ショップには、当時の手付金の20万円と、今回の購入代金20万円の計40万円しか入らない。20万円の赤字になったそうだ。

購入後、新しいオーナーは、デッキに生えていた木を取り除き、キレイに洗ってワックスをかけ、買ったときのままの外観で乗っていた。岡田さんは3人乗りのヤマハ MJ-VX HOも持っているが、この1200GPばかりに乗っていたという。


その後しばらくしてから、「キレイに全塗装したい」と、ショップに持って来たのである。そこで、岡田さんの希望を取り入れたデザイン画を城戸氏が描き、ヒロキッスクデザインに塗装を依頼して、下の写真のように美しく生まれ変わったのだ。

美しく生まれ変わった1200GP。

SPLASH TOYS 鎌倉の店長・城戸氏が、ヒロキッスクデザインに塗装を依頼するために描いたデザイン画。このイラストを描いた城戸店長も、要望通りに仕上げたペインターの佐々木氏も両方ともがすごい。まさにプロの仕事だ。

ジェットの印象を決める「カラーリング」

カラーリングの変更に際し、岡田さんの要望は、「ゼッケン“100”を入れる」ことと、「ボディを青色にする」だけだった。そこから、城戸店長がデザインを考え、イラストを描き起こした。

仕上がりの色はもちろん、ステッカーの位置、レーシングヤマハのストロボラインまで、詳細に描かれている。城戸店長の頭の中に、明確なイメージがあった証拠である。

店長は、以前、SEA-DOO XPでスポーツクラスに参戦していた元レーサーである。当時のレーサーは、皆、強烈にアメリカのレースシーンに憧れていた。だから、あえて超メジャーだった「リバ・ヤマハのカラーリングとは変えたい」と思っていたという。

ベースの青色は、城戸店長とヒロキックスデザインの佐々木氏が、さまざまな青色を調色し、最終的にこの色に決定した。ヒロキックスデザインお得意の、細かなラメが入ったキャンディフレーク仕様だ。

「当時のリバ・ヤマハとは変えたい」と言っていたが、アメリカのレースシーンが頭の中に染みこんでいるのだろう。メーカーファクトリーチーム、レーシングヤマハでクリス・マックルゲージが乗っていたマシンと非常に似ていてとてもレーシーな仕上がりとなっている。


1997年のワールドファイナル。当時、ヤマハのファクトリーライダーだったクリス・マックルゲージ。

世界中のジェットユーザーが憧れた「YAMAHA FACTORY RACING」

上写真の「レーシングヤマハ」のマシンは、世界中のジェットユーザーの憧れだった。ブルーの色は若干違うが、今回、城戸店長が描いたスケッチと非常に似ている。パッと見たら、このカラーリングを参考にしたと思ってしまうだろう。

今考えると、アメリカでジェットスポーツが最も光り輝いていた時代、それが1990年代だ。
バドワイザーが冠スポンサーになったり、全米中にテレビ中継され、選手には高額な賞金とスポンサーマネーが与えられた。マシンのカラーリングも、この時代が最高だったような気がする。


1997年のワールドファイナルを最後に、ヤマハからカワサキに移籍することを発表したクリス・マックルゲージ。着ていたヤマハのヘルメットやウェットスーツをその場で脱ぎ、観客席に投げ込んだ。彼の後ろに写っているのが、ランナバウト1200クラスに参戦していたYAMAHA 1200GPだ。

【こぼれ話】記憶に残る・忘れられない名場面

「ヤマハ、バイバイ」「カワサキ、コンニチワ」
アメリカのスーパースター、クリス・マックルゲージは、所属チームであるレーシングヤマハとして最後の戦いを終えた直後、身に着けていたヤマハのライディングギアを、全て観客席に投げ込んだ。そして、新たに来季からの契約を交わした、チームカワサキのピットシャツをその場で着たのだ。

1200GPに試乗させてもらったが、「SPLASH TOYS 鎌倉」によってオーバーホールされたエンジンは、とても爽やかに走る。

「ファントゥライド」の記憶を揺り起こす、素晴らしいマシン

今回、23年ぶりに1200GPに試乗させてもらった。乗る前、水に浮いている船体を見て、小さくて驚いた。私の記憶の中の1200GPは、もっと大きかった気がする。

現代風カラーに生まれ変わった1200GP。その、カッコ良さに惚れ惚れする。それにしても、1200GPって、こんなに小さかったっけ? 記憶の中の1200GPは、もっと大きかったような……。

【試乗】「ライバルたちを圧倒するスーパーマシン、鮮烈にデビュー。ウォータービークルの基準を塗り替える、ハイ・グレードモデル」のキャッチコピーを噛みしめて走る

23年ぶりに1200GPというジェットに乗った。「SPLASH TOYS 鎌倉」によってオーバーホールされたエンジンは、とても爽やかに走る。さすがに現代のジェットと比べて、「いきなりドッカーン!」という加速は感じられないが、遅いとも思わない。「爽やかに走る」、とても楽しい時間だった。

今のオーナーが、他のランナバウトも持っているのに、この1200GPばかりに乗っているのも納得できる。
単純に、乗っていて、とても楽しいのだ。20年以上も前のマシンなのに、壊れる気配が微塵もない。走り続けながら、改めて「ノーマルってすごい」と感じていた。

ジェットにはいろいろな楽しみ方があるが、乗って楽しいのは、間違いなく「小さなジェット」である。

「ジェットの良さ」とは、一体、何なのか?

今から23年も前に発売された1200GPに乗って「ジェットの良さとは、何なのか?」と、今さらながら考えさせられた。
近年のランナバウトは、「純粋に走る喜び」というよりは、「モア・パワー」ばかりが先行してマシンの開発が行われてきたような気がする。

スタンドアップが良い例だ。「ジェットに乗る楽しさ」は、小さなマシンほど体感できる。それを、改めて感じさせてくれた今回の試乗だった。

メーターまわりの雰囲気も良い感じ。ヤル気にさせられるデザインだ。

プロジェットショップ「SPLASH TOYS 鎌倉」から歩いていける、素敵なビーチ。

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