
プロスキークラスで活躍する現役プロライダー・服部和生プロによる「SX-Rのライディングの要諦」です。
ジェットスキー(以下、ジェット)はスポーツなので、理想のライディングフォームのイメージを、頭と体に叩き込むことは非常に大切です。
分かりやすく、ゴルフのスウィングを例に挙げてみましょう。
自分ではタイガー・ウッズ選手や石川遼選手になりきってクラブを振っているのに、実際に見てみると全く違うフォームだったということはありませんか?
これは良くある話ですが、ゴルフの練習場で、初めて自分のスウィングをビデオで撮影したら、全く予想していなかったヘンテコなフォームに愕然とした。なかには、「こんなヘタクソは自分じゃない」と怒り出す人もいます。これは、ある程度、自分のスウィングに自信がある人に多い現象です。
ウッズ選手や石川選手のような理想のスウィングが頭の中では完璧にできていて、それを忠実に再現しているはずが、映像で突きつけられた現実は、ただのヘタクソがクラブを振っている姿だったということです。
頭では理想形がイメージできても、体はその通りには動いてくれません。これこそがスポーツの難しさだと思います。
ゴルフの本やDVDをいくら見ても、自分の姿は見えません。「やっているつもり」「できているつもり」なのにできていない……。
しかし、理想のイメージを持つことは非常に大事です。それが、ゴールであり、目指すものだからです。目標がなければ、どこにもたどり着くことはできないのです。
スポーツの本質は、理想のイメージを構築し、それに少しでも近づけるように努力を続けること。それしか、進歩する方法はありません。
そう考えるなら、ジェットの上達に必要不可欠なものは、「理想のライディングイメージを構築する」ことです。
もし、本気でライディングが上手くなりたければ、毎日、何度もこの写真を見て、基本のライディングフォームを頭の中に叩き込みましょう。
人間は、止まっているボールを打つゴルフスイングですら、再現するのが難しいのに、時速100kmを超えて、常に動き続けているジェットの上で、「理想のライディングフオーム」を再現しようとしているのです。
「理想のライディングフォーム」を頭だけではなく、体にも染み込ませるつもりで、写真を見続ける必要があります。
服部和生プロの左ターン。最も重要なことは「低重心」。目線は次に向かう場所を見つめ、顔は進行方向を向いている。
右写真のように、正面から見たら分かりやすいが、外に飛び出しそうなくらい、体が進行方向に向かっている。
直線を走るときも、目線はすごく大事である。膝を曲げ、衝撃を吸収しいているのが特徴。棒立ちでは、ジェットをコントロールできない。
目線は進行方向へ。前側の足は、デッキマットの1番前に置き、ジェットが跳ねたら前足に荷重をかけ、バタつきを抑える。
左ターン同様、目線は次に向かう場所を見つめ、顔も進行方向を向いている。
写真右のように、正面から見ると、ジェットから飛び出しそうなくらい、体が進行方向に向かっている。
波で飛び上がり、着水時にフロント部分から水に突き刺さりそうになったら、体を後ろに引いて、着水姿勢を調節する。フロントから突き刺さると、水の抵抗で著しく減速してしまう。
大波で、やむにやまれず波に突き刺さってしまった場合の回避フォーム。両膝を曲げて低くなりながら水の抵抗を受け流す。
波でフロントが浮き上がろうとしたら、デッキの前方に前足で荷重をかけて押さえ込む。
左ターンでも、右ターンでも、コーナー突入時は90%以上、前足に荷重している。後ろ足はほとんど荷重していない。
写真左、講師の服部和生プロ。
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