カテゴリ
タグ
  1. TOP
  2. RACE
  3. 【RACE】【 4nd STAGE・「宝達志水・千里浜大会」SKIクラス特集】「Pro Ski GP」「Expert Ski GP」「A SKI SLTD」

【RACE】【 4nd STAGE・「宝達志水・千里浜大会」SKIクラス特集】「Pro Ski GP」「Expert Ski GP」「A SKI SLTD」

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
白波が立つ、大荒れの千里浜。

JJSA 第4戦・石川県千里浜大会。暴風雨の中のレースは、選手たちの「純粋な力量」勝負を分けた!

6月16日(金)~18日(日)の3日間、宝達志水町・今浜地内(石川県・宝達志水町千里浜なぎさドライブウエイ)において、「ALL JAPAN JET SPORTS SERIES 2023 4st STAGE」と「AQUA BIKE 全日本選手権シリーズ(国土交通大臣杯)」の2カテゴリーのレースが開催された。

今年は特に安定しない天気が続くが、今大会期間中も土・日曜日ともに暴風雨。土曜日はイベントスケジュールをこなせたが、日曜日は安全に配慮しMOTO 1が終わった段階で、その後のレースの中止が告げられた。そのため、各クラスとも1ヒートのみの「一発勝負」となった。

ここでは、「Pro Ski GP」「Expert Ski GP」「A SKI SLTD」「A SKI-X SLTD」「Pro-Am Women Ski STK」のスキークラスカテゴリーを紹介する。

最高峰・Pro Ski GP クラス

「これぞ、プロフェッショナル!」という勝ち方を見せた倉橋 秀幸選手。

【Pro Ski GP】 “水面が荒れたらヒデ”といわれる倉橋秀幸選手の真骨頂レース

どんな水面でも「最後にトップに立つ」、高いライディングスキルを見せた

今大会の水面は、荒れ狂うラフウォーターである。
昔からレース関係者の中で盛んに言われているのが「荒れたらヒデ(倉橋 秀幸選手)」という言葉だ。ある種、格言のようにもなっている。
スキークラスの場合は特に、水面コンディションが悪いほど、マシンよりもライダーのスキルが勝敗を左右する。普通にアクセルを握れば、「前」ではなく「真上」に飛び上がるような水面では、マシンの速さがそれほどのアドバンテージにならないからだ。
言い方は悪いが、ラフウォーターのレースでは、マシンがそこまで速くなくても、選手に実力があれば結果を残す確率が高くなる。

予選、MOTO1では、ほとんどの選手を周回遅れにし、トップを快走する小原 聡将選手。

世界レベルの走りを見せた小原選手。しかし、それを凌駕する走りで倉橋選手が優勝

最終ラップの最終コーナーで何が起きたのか? 優勝目前の小原選手をワンチャンスで抜き去る「静かな刺客」

前回大会で小原 聡将選手は、マシンをプロフォース2.0から「プロフォース3.0」に乗り換え、完全優勝を果たしている。今大会も、群を抜いて速くて強かった。
今大会、「Pro Ski GP」のエントリー数が多く、土曜日に予選が行われた。予選では、水面が荒れていたため、予定よりも競技時間を短縮したにもかかわらず、小原選手がほぼ全員を周回遅れにするほどの独走態勢であった。
「マシンとライダー」の両方が揃った小原選手に、今、国内で勝てる相手は“誰もいない”と本気で感じさせてくれる走りである。

小原選手は、日曜日の決勝でも終始トップを独走し、半数近い選手を周回遅れにしていた。ホワイトフラッグが振られた最後の1周も、余裕でトップを走っていた。
多分、最終ラップのゴール直前、最終コーナーで倉橋選手に抜かれる瞬間まで、小原選手は自分の勝利を確信していたはずだ。

ギャラリーも、レース序盤から終盤の最終ラップまで、小原選手の15メートルほど後方を走り、虎視眈々とトップを狙う倉橋選手が見えていたが、抜くことはなく、このままの順位でレースが終わると思っていた人が大半だろう。
しかし、編集部は「倉橋選手が、必ずどこかで仕掛けてくる」という予感があった。

倉橋選手は昔から「4強」と呼ばれる実力者である。そして、勝利への“嗅覚”は尋常ではない。
小原選手とは付かず離れずの距離感を保ち、“息を殺して”その時を待つ倉橋選手の姿は、不気味ですらあった。

そして、“その瞬間”がやって来たとき、迷いなく小原選手に襲い掛かり、抜き去っていった。
当の小原選手は「2位の倉橋選手に、全く気が付かなかった」と、レース終了後に語っている。

写真で見る『これぞプロフェショナル』というべき“衝撃的な勝利”

① レース序盤からラスト1周まで小原選手がトップを走り、その後ろから倉橋選手が一定の距離を保って追いかける。

② 最終ラップの最後の左コーナーの手前で、倉橋選手が小原選手に仕掛ける。

③ 左に曲がるのに、倉橋選手は"あえて"右側に大きく膨らんだ。

④ ほぼ2台同時に左コーナーへ突入。この時点では、まだ小原選手は、倉橋選手の存在に気付いていない。

⑤ サイドバイサイドになった瞬間、"初めて"小原選手は倉橋選手の存在を"認識"した。

⑥ アウト側から来た倉橋選手は、スピードが乗り切った状態で小原選手に"対峙"している。ここで小原選手がアクセルを握っても、倉橋選手には追い付かない。

⑦ 完全に倉橋選手がトップに立った時点でゴールラインを通過! 劇的な逆転レースとなった。

衝撃的で鮮烈な倉橋選手の勝利。そして、小原選手の後悔とは

今回、これだけ水面が荒れると、マシンのトップスピードは関係なくなる。純粋にライダーのライディングスキルのみの勝負となるのだ。
トップスピードで小原選手に劣る倉橋選手には、互角の勝負ができるチャンスでもあった。

そして、仕掛けたのがラスト1周の最後のコーナーだったことが「倉橋 秀幸」というライダーの本当の強さの証でもある。

このレースで、小原選手が倉橋選手の存在に気が付いたのは、この「抜かれた瞬間」であった。倉橋選手を認識してからアクセルを開けても、スピードに乗った倉橋選手には追い付けない。
負いかけようと思ったときには、すでにチェッカーフラッグを受けていたのだ。

目の前の世界レベルの戦いに、鳥肌が立つ思いだった

レース後、普段は温厚な小原選手のチーム監督が「あれは、トシのチョンボだった。ヒデに気づかないなんて……」と、少し怒っていたのが印象的であった。それほど、誰が見ても「小原 聡将」が勝つべきレースだったのだ。

そして、このMOTO 1のレース終了後に、荒天によるMOTO 2の中止が発表された。
MOTO 1で2位となった小原選手は、MOTO2で勝てば、「総合優勝」できると思っていたはずである。

自然が相手の競技だけに、「次がある」と思ってはいけない。勝てるときに、確実に勝利することが、重要だと思い知らされたレースである。

ギャラリーの立場からひと言言わせていただければ、もう一度、倉橋選手と小原選手のガチバトルを見たいと心から思ったのである。
今回、荒れた千里浜の海で、スゴイ戦いを見せてもらった。

異次元の速さで、他の選手を周回遅れにする小原選手(写真左の赤いマシン)。

Pro Ski GPクラス・リザルト

順位 ライダー名(チーム名)
1位 倉橋 秀幸
2位 小原 聡将(SKU46H Racing)
3位 松浦 章人( KHK レーシング)
4位 海老原 祥吾(SKU46H Racing)
5位 山本 陽平(Team YRF)
6位 桜井 直樹(#1 POUND ONE)
7位 平阪 勇助(KILLER Racing)
8位 日高 瑞夫
9位 釘崎 勇真(Team Shindy)
10位 斉藤 貴彦(UNLIMITED)
11位 竹田 憲二
12位 服部 和生(UNLIMITED)
13位 山中 祐太郎(ZERO)
14位 片山 司(ZERO)
15位 佐藤 颯志(#1 POUND ONE)
16位 山﨑 友裕(超Ponkan Racing)

総合 1位 倉橋 秀幸 選手

「ココしかない場所で抜く」といった劇的な勝ち方をしたのに、ゴール後も平然としていた倉橋選手。彼にしてみれば、この状況下で勝つことは「普通」なのだろう。これが「プロフェッショナルの矜持」だと教えられたような気がした。

息を殺すかのように静かに小原選手に迫り、最後の最後に勝負を仕掛けた。

愛娘(写真中央)と倉橋選手。そして、倉橋選手を支える仲間たち。

総合 2位 小原 聡将 選手

スタート地点が荒れ、波でマシンを支えられない場面も。

荒れた水面でも、万全のスタートを切った。

水面が荒れると、他艇との間隔が極めて近くなってしまう。

予選で、ホールショット争いをする小原選手(写真左)と日高 瑞夫選手(右)。

今回の戦いを見ても、小原選手のコンディションは万全だった。今大会、倉橋選手が凄すぎたが、現在、小原選手を倒せるレーサーは国内にはいないだろう。次戦以降も、このクラスは小原選手を中心に動いて行くだろう。

小原選手の愛娘(写真左)と、彼女を抱っこしているのがウィメンクラスで活躍中の蒲田 六花選手のお母さん。

総合 3位 松浦 章人 選手

ベテランで実力者の松浦章人選手がレースに復帰した。復帰戦が大荒れのレースとなったのは、松浦選手には良かったのかもしれない。実力の証明となるからだ。

写真の最前列左側が松浦 選手。名門「KHKレーシング」の仲間たちと。

Pro Ski GP クラス・GALLERY

ゼッケン81(写真手前)が総合4位となった海老原 祥吾選手。5位の山本 陽平選手(右)のバトル。海老原選手の水面での位置を見れば、どれだけ波があるのか分かるだろう。

山本選手のビッグジャンプ! 飛んだ時の体重の抜き方が上手い。

レース直後の山本選手。力を出し切ったのか、晴れやかな笑顔だ!

爽やかな笑顔の日高 瑞夫選手は、今回総合8位だった。

釘崎 勇真選手の父で自身もライダーの釘崎 真治選手(写真左)と、世界的マシンコンストラクター・藤江功一氏(右)。実は2人は仲良し。お茶目でステキなオジサンたちだ!

Expert Ski GPクラス



敗者復活戦から這い上がってきた、陣川 雄大選手が逆転勝利!

総合 1位 陣川 雄大選手

他の選手が守りに入るなか、終始イケイケで攻めた走りを見せて勝利した陣川 雄大選手。

陣川選手と愛娘(写真左)と、藤江氏(右)。

マシンを抑えるホルダーも大変だった。

ミスをしても、アクセルを開け続ける果敢なライディングも素晴らしい。

陣川選手とチーム「RACING TEAM JSPT」。彼の義父と実母もレースに出ているレーサー一家。

総合 2位 塩田 智晴選手

ベテランで、ライディングスキルの高い塩田 智晴選手が2位。

常日ごろから練習を欠かさない塩田選手が、ラフウォーターの水面で上位入賞するのは当然の結果だ。

総合 3位 志水 秀行選手

今シーズン、Expert Ski GPクラスで表彰台に上がり続けている志水 秀行選手。「攻めの走り」で、ギャラリーを沸かせてくれた。

Expert Ski GPクラス・リザルト

順位 ライダー名(チーム名)
1位 陣川 雄大(RACING TEAM JSPT)
2位 塩田 智晴(TEAM T5R)
3位 志水 秀行(マリンメカニック)
4位 増子 隆吉(UNLIMITED)
5位 田中 エミ(55HEAVEN)
6位 古川 薫(TEAM T5R)
7位 上坂 和成(TEAM seaZracing)
8位 金子 真珠(CLEVER W C T)
9位 上田 真利奈(TEAM 武蔵)
10位 増子 隆二(UNLIMITED)
11位 高橋 肇(TEAM seaZracing)
12位 平 晃一(F51)

Expert Ski GP クラス・GALLERY

Expert Ski GP クラスのスタート。金子 真珠選手(写真手前)をフォーカスした。

ホルダーも、集中力が大切だ!

大波が来るとスタートできない。

このころになると、スターティンググリッドにいる全ての人々から、「早くスタートさせろ」という無言の圧力を感じる。

ようやくスタート!

このクラスは全12艇の戦いとなる。波のため、左右のマシンが近い。

「前」に行きたいのに「上」に飛ぶ。

総合4位の増子 隆吉選手。黒いイナズマ!

前回の猪苗代大会で勝った田中 エミ選手(ゼッケン55)は総合5位、琵琶湖大会で勝った上田 真理奈選手(ゼッケン17)は総合9位と苦戦した。

田中 エミ選手の応援に来ていた、2021年のPro SKI GPクラス全日本チャンピオン・佐々木 宏樹氏。

このクラスの優勝候補でもある佐藤 舞旺選手だが、今大会は大波の中を攻めまくって自爆し、予選落ちとなった。若者らしくて素敵である。

レース会場で軽快に3輪電気バイクに乗る佐藤選手。

この電気バイクは125ccの原動機付バイクと同じ扱い。元550クラスのチャンピオンだった京都の自転車屋さんが、プロモーションのため会場に持ち込んでいた。取材班も試乗したが、「これからは電気の時代」と思わせてくれる快適な原付バイクだった。

A SKI SLTDクラス



総合 1位 佐藤 和輔選手

スタートで、容赦なく波に襲われる佐藤 和輔選手。

今大会は、走りに余裕が感じられた。

このクラスは18名がエントリーの激戦区。佐藤選手は予選から安定して速かった。

総合2位 戸賀瀬 満選手

前回大会に続いて、今大会も2位となった戸賀瀬 満選手。

総合3位 三宅 貴之選手

名門チーム伝統の「黒船」。走っているだけで威圧感があってカッコいい!

A SKI SLTDクラス・リザルト

順位 ライダー名(チーム名)
1位 佐藤 和輔(SKU46H Racing)
2位 戸賀瀬 満(TEAM T5R)
3位 三宅 貴之(Racing MOTOINE)
4位 鳳山 世紀(5tec)
5位 齋藤 恵利子(Team EAST JAPAN)
6位 平 晃一(F51)
7位 阿部 文樹(Team EAST JAPAN)
8位 横山 亜土夢(AUTO SWAP.F.R)
9位 中島 正晴(FORCE Racing)
10位 杉森 守(Racing MOTOINE)
11位 下園 光司(Racing MOTOINE)
12位 楠本 正人

 



A SKI SLTDクラス・GALLERY

笑顔がステキな齋藤 恵利子選手(写真左)は総合5位。

齋藤選手のマシンを整備するライダー兼コンストラクターの藤井 亮平選手。

期待の若手ライダー・横山 亜土夢選手は総合8位。大波の洗礼を受けた。第4戦を終えた段階で、このクラスのポイントリーダーだ。

JJSA 第4戦・宝達志水・千里浜大会 【TOPICS & GALLERY】

日曜日のライダースミーティング。水面コンディションの悪さを考慮して、コースをオーバルに変更した。

ボランティアとして、地元・石川県の女子高校生がお手伝いに来てくれた。

30年前には50mあった砂浜が、浸食により2011年には約35mの広さになっている。一部では、砂浜がほとんどなくなってしまったという千里浜の砂浜を再生すべく「千里浜再生プロジェクト」を発足。今大会もブースを出展し、砂浜の浸食の現状や、保全対策の必要性などの情報を発信した。

「千里浜再生プロジェクト」というチームで参戦した、北 篤志選手。

ファクトリーゼロ社のブースも出展。

MCサコちゃん(写真左)と、山﨑直美会長(右)。2人とも服を着たままで、お茶目な馳知事に海に沈められそうになっていた。

大波で揺れるスタートタワー。倒れなくて良かった。

レスキュー艇も大活躍。

JJSA事務局長の柚木 誠氏。刻一刻と変化する気象状況の対応に追われていた。安全に配慮し、どこでイベントを中止するかも主催者の力量だ。悪天候は運営サイドを疲弊させる。


【RACE】【 4nd STAGE・「宝達志水・千里浜大会・SKIクラス特集】「A SKI-X SLTD」「Pro-Am Women& B SKI STK」「B SKI-X STK」「SKI SuperJet」「M Ski GP」「M Ski」「M SKI-X」と、VINTAGEクラス「550(A)」「550(B)」「X-2 650SX」「SKI(800) X-2(800)」

【RACE】【 4nd STAGE「宝達志水・千里浜大会」RUNABOUT クラス 特集】「Pro Runabout GP」「Expert Runabout OP」「Pro-Am Runabout 1100」「Pro-Am Runabout STK」「Pro-Am Runabout LTDクラス」「Novice Runabout STK」



【RACE】【 3nd STAGE・福島県猪苗代大会・SKIクラス特集】「B SKI STK」「B SKI-X STK」「SKI SuperJet」「M Ski GP」「M Ski GP」「M Ski」「M SKI-X」と、VINTAGEクラス「550(A)」「550(B)」「X-2 650SX」「SKI(800) X-2(800)」

【RACE】【 2nd STAGE・滋賀県琵琶湖大会・SKIクラス特集】「Pro Ski GP」「Expert Ski GP」「A SKI SLTD」「A SKI-X SLTD」「Pro-Am Women Ski STK」「B SKI STK」「B SKI-X STK」「SKI SuperJet」「M Ski GPM Ski GP」「M Ski」「M SKI-X」

【RACE】日本の最高峰カテゴリー「特集・Pro Ski GP」【aquabike(アクアバイク)】山口周防大島大会

【RACE】国内レース 「VINTAGE CLASS 特集」 【山口県・周防大島大会】「2023 JJSA・開幕戦 1st STAGE リザルト」 

【関連記事】
”チョット立ち読み” ワールドジェットスポーツマガジン「 2023年 5 月号 」 ただ今、まるごと1冊”無料公開中” 「時間がナイと読めません!」シーズン到来 200ページ超えの大増量!
日本パワーボート協会物語 Ver.1「パワーボート」という競技を知っていますか?「パワーボートの今」を作った「小嶋松久」氏
国産初のF1「KE007」が富士スピードウェイを走った日 コジマエンジニアリング・小嶋松久氏が語る Vol.1
2023年 BRP SEA-DOO(シードゥ)ニューモデル国内全モデルラインナップ
2023年 ヤマハ Wave Runner(マリンジェット) ニューモデル国内全モデルラインナップ
「ホンモノの男物語」今から59年前の21歳でレースデビュー。鈴鹿サーキットで開催された「第1回全日本選手権ロードレース大会」に初出場! 80歳の現役最高齢レーサー「中地淳一さん」インタビュー
良いジェットショップの選び方

ジェットスキー中古艇情報

月間アクセスランキング