ジェットメイトは、1988年にカワサキから発売されたジェット推進のジェットスキーです。カワサキモータースジャパンのサイト内にある「ジェットスキーの歴史」というコーナーでは、「ほぼ長方形に近いバスタブのようなハルを採用した『JET MATE』。運転席1、後部座席2のシートレイアウトを持つ、カワサキ初の3シーターモデル。ヘリコプターの操縦桿ように、トリガータイプのスロットルを採用。主に、水面の穏やかな川や湖で愛用された」と紹介されています。
しかし、ジェットメイト発売当時の1988年、ジェットスキーといえば、スタンドアップのJS 440やJS 550が主流で、2人乗りできるのは650X-2しかありませんでした。ジェットスキー専門誌では「商品名からも分かるように、これはジェットスキーではなく『ジェットメイト』。あくまでもジェットスキーの仲間としての登場である(出典:ジェットドリーム、1988年、Vol.7)」と書いていました。特徴的すぎるその姿に、「果たしてジェットスキーと呼んでいいのか?」と物議をかもしたようです。
後にも先にも、こんな乗り方をする3人乗りは見たことがありません。発売からわずか2、3年で表舞台から消えてしまった機種ですが、ジェットスキー創成期ならではの想像力と可能性に満ちた機種だと思います。
「燃料や食料を搭載してのロングツーリングが可能となった画期的なモデル」と、当時言われていたジェットメイト。船底がフラットで、ジェットスキーと同様に浅瀬にも入っていけるから、他のジェットスキーと一緒に給油も食事も休憩も自由自在にできます。また、水上スキー(まだウェイクボードが一般的ではなかった時代なので、トーイングといえば「水上スキー」でした)を引っ張ったり、レスキュー艇、釣りやダイビングのプラットフォームなどに使えると書かれています。
気になるスピードは、650cc、2ストロークツインエンジンで52PS/6,000rpm、最高速は47km/hに達します。時速120km出る現代のランナバウトから比べたら、スゲー遅いじゃんと言われると思いますが、当時はこれで十分だったわけです。
ちなみに、「ジェットメイトは小型のボートではなく『大型のジェットスキー』。ジェット遊びをするための『ジェット仲間』」という、分かったような分からないような乗り物という感想でした。スタンドアップ全盛時代の異端児だったのですね。
全長 | 2,710 mm |
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全幅 | 1,525 mm |
全高 | 770 mm |
整備質量 | 239kg |
排気量 | 635cc |
搭載エンジン | 水冷2ストローク2気筒 |
連続最高出力 | 52PS/6,000 rpm |
定員 | 3名 |
燃料タンク容量 | 30L |
1988年当時の発売価格 | 105万円 |
ジェットメイトの持ち主である、コンストラクターの藤江功一氏は、当時、このジェットメイトを購入して実際に遊んでいました。ガソリン缶を積んで、皆でツーリングに行くのはもちろん、レース会場でブイの設置やマーシャル艇に使ったりと、さまざまな用途に使っていたそうです。
記憶では「最高速度が60km/hぐらい出ていたような……」と言っていましたが、当時の雑誌に最高速は47km/hと書いてあると告げると、非常に驚いていました。ジェットメイトは、その船底形状から船体抵抗が少なく、非常に軽快に走ってくれた記憶があるそうです。
現在、藤江氏が所有しているジェットメイトは最近入手したもの。「ブロージョンのジェットメイトは800SX-Rのエンジンなので、恐らく最高速は80km/hくらいでしょう。僕は、エンジンを1,100ccに載せ替えて、90km/hを目指します。外観も中身も、ブロージョンのクオリティを超えるのが目標」だそうです。
これから製作を始めるそうですが、一体どんな乗り味になるのか? 夢が膨らむお座敷ジェットです。
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