ワールドファイナルの花形クラスは、この「プロスキーGPクラス」である。レースは全3ヒート行われ、その総合結果で順位が決まる。見どころは、なんといっても「実力者が揃っている」ことだ。昨年度チャンピオン、クエンティン・ボッシュ選手を筆頭に、2015年~2017年の3年連続で世界タイトルを獲得しているジェレミー・ポレット選手、フランスのチームカワサキのライダー、マーリン・ラファエル選手や、元USカワサキのファクトリーライダーで、現在はアフターパーツメーカー、コマンダー代表のダスティン・モツリス選手、日本の倉橋秀幸選手などが出場し、誰が勝ってもおかしくない状況である。
優勝候補の1人、クエンティン選手が決勝ヒート前日、金曜日に行われたプラクティスラン(練習走行)で負傷したのだ。木曜日に強風が吹き荒れ、全てのレースが中止になった。金曜日の朝もまだ水面は荒れていた。水面が荒れていたせいで、2時間ほど予定が遅れてのスタートとなった。その最初の練習走行で、クエンティン選手がケガをしたのだ。
クエンティン選手の前を走っていた選手が、波にマシンを取られて急に後ろ向きにスピンしたところに、クエンティン選手が突っ込んでしまったのだ。
2人とも命に別状はなかったが、大ケガを負ってしまった。クエンティン選手がこの接触事故で足を負傷。救急車で運ばれる姿を見る限り、骨折しているようだった。
これにより、クエンティン選手はリタイア。優勝候補の一角がいなくなったことで、さらにタイトル争いが激化することが予想された。
アウトコースのホールショットが、ダスティン・モツリス選手。インコースのホールショットがコレ・クレイマー選手。合流で、モツリス選手がトップに立ち、クレイマー選手が2位、3位がマーティン・マニー選手で始まったこのレース。
中盤で、4位のラファエル選手がマニー選手を抜いて3位に浮上。最終ラップを告げるホワイトフラッグが振られて、最終のバックストレートまで2位をキープしていたクレイマー選手が転倒。その隙にラファエル選手とマニー選手が抜いた。結果、このヒートの優勝はモツリス選手、2位がラファエル選手、3位がマニー選手、4位がクレイマー選手の順となった。結果的にモツリス選手がホールトゥフィニッシュの快勝だったが、ラファエル選手の猛追が印象的であった。
勝ったモツリス選手は、アフターパーツメーカー「コマンダー・インダストリー」代表。チーム コマンダーは、負傷したクエンティン選手選手がメインライダーなのだが、今回、自身がクエンティン選手の代わりに勝利した。
一斉にスタートし、アウトコースのホールショットが、ジェレミー・ポレット選手、インコースのホールショットはコレ・クレイマー選手が獲得。合流でポレット選手が1位、クレイマー選手が2位、3位がテオ・ビューマー選手、4位ダスティン・モツリス選手、5位がラファエル・マーリン選手の順で始まった。結局、最後まで順位は変わらず、このままゴール。
スタートして1周目、ホールショットを獲得してトップに立ったのはコレ・クレイマー選手。2位はタイロン・モツリス選手、3位がジェレミー・ポレット選手、4位ダスティン・モツリス選手、注目のマーリン・ラファエル選手は6位からのスタートとなった。
それにしても、クレイマー選手は乗れていた。2位のタイロン選手に追いつかれることなく、等間隔のまま最後まで走り切ったレースであった。
印象的だったのが、6位にいたラファエル選手が、最終的に3位までランクアップしていること。彼は、ラフウォーターのキツイ海面で、選択コースを使って攻め続けた。 途中で追い抜いてきたのが、ポレット選手とモツリス選手なのだから、いかにラファエル選手が攻め続けているか分かるであろう。
それにしてもクレイマー選手の走りには驚かされた。3ヒート通じて、世界のトップランカーに、全く引けを取らない。それどころか、終始、レースをリードしていた。今までジュニアクラスのレースでしか見た覚えのない少年が、いきなりこの快挙だ。努力もあるのだろうが、若いって素晴らしい。
順位 | ライダー名(国名) |
---|---|
1位 | Kole Cramer(USA) |
2位 | Jeremy Poret(FRANCE) |
3位 | Maurin Raphael(FRANCE) |
4位 | Dustin Motzuris(SOUTH AFRICA) |
5位 | Tyron Motzouris(SOUTH AFRICA) |
10位 | 石川公昭(JAPAN) |
11位 | 倉橋秀幸(JAPAN) |
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